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スラム街でそろばん指導@フィリピン  

スラム街でそろばん指導@フィリピン 
大阪市立大学2年 外村一樹

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 2018年2月13日〜4月2日までの約6週間、フィリピンマニラにてそろばん指導などを企画しながら、現地での算数教育の向上に貢献することを目的に活動してきました。本記事では、活動報告をするかたちで、私の視点から、現地でのそろばん活動の結果と考察を述べさせていただきます。

Soroban is a Japanese traditional abacus which helps you in calculating. In Japan, it has affected on the education positively. According to some surveys, it is helpful for not only calculation,but also how deep you can think. When l went to the Philippines last September,1 wonder if Soroban can be useful for the children in the Philippines. And l thought if it is true with them, Soroban can make a difference on many children who need to study math. I met some students in Manila last visit in the Philippines. They like math and want to be able to good at it, but sometimes their accuracy of calculation was not good. That’s why l taught Soroban to the children and wrote this report.

活動場所の様子


マニラのスラム街
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 昨今、フィリピンを含む東南アジアは急激な経済成長を遂げています。しかし、ここマニラでは経済格差はますます広がっており、食や教育の面での格差は特に大きな社会問題になっているといえます。

 そして、今回はHAPPY LANDとよばれるマニラ沿岸部のスラム街でそろばん指導を実施しました。スラム地区で一人で活動することは危険なので、現地で給食活動や教育活動を行うNPO法人PROJECT PEARLSさんの活動に毎日同行しながら、企画・実施を行いました。

そろばんを初めてみる子供たち
 マニラでは、地域に関わらず“そろばん”を知っている人は少数でした。ましてや、そろばんを実際に使ったことのある人はいませんでした。ですから、スラム街から集まってくる子供たちも当然のことながらそろばんのことを知りません。子供たちの中には、そろばんが背中を掻くためのものだと思った子もいました。(僕も実際に掻いてもらいましたがなかなかよかったです 笑)何に使うかわからないものの子供たちは、そろばんに強い興味を示していました。大人のみなさんもそろばんには強い興味を示してくれていました。私にもそろばんの使い方を教えてほしいと頼まれて教えることもしましたが、子供たちよりも大人たちの方が早く諦めてしまう傾向にあると思いました。フィリピンでは、計算が苦手な方が日本よりも多いようでした。ある方によると、フィリピンでは計算の基礎を英語で教わるそうなのですが、その時点では英語が十分に理解できていないので、算数が苦手になってしまう子供たちが多いようです。そのまま大人になって算数に苦手意識を持つ人が多いようです。しかし、中には非常に熱心にそろばんの話を聞いてくれる方もいらっしゃいました。例えば、フラッシュ暗算に関心を持つ学校の先生に出会いました。フィリピン人はスマホゲームが好きなので(暇が嫌い)、フラッシュ暗算がみんなで楽しめるゲームになれば教育現場に持ち込めるとおっしゃていました。このように現地ではそろばんは珍しいもので、しかもフィリピンでは教育に対する関心が高まっているので、そろばんに対する関心も高いものであるように感じました。

そろばん指導結果

そろばん指導の成果
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 まずは、そろばんが計算をするための道具だということを十分に知らせることができたと思います。そろばんで計算をする前に、数の置き方をたくさん練習しました。自分の好きな数字をそろばんにおいて、なぜその数字が好きなのかを発表してもらいました.。発表するために立ちあがったときにそろばんの珠がリセットされてしまうという八プニングもありましたが、子供たちは笑顔を絶やさずにそろばんにチャレンジしていました。

 30分程、珠の置き方と読み方がわかることを目的にしたワークをした後、いよいよそろばんで計算をしてみました。子供たちに説明すると、わかったと言ってくれているのですが、実際にはみんな桁の繰り上がりに苦戦していました。ここで大活躍したのが、㈱ダイイチの宮永会長からご提供いただいたボイスそろばんでした。大きな珠と数字が表示される仕組みのおかげで子供たちも理解しやすかったようです。最後には、「自分の誕生月と誕生日の日付を足してみてください。(誕生日が12月6日ならば12+6を計算して答えは18になります)」という計算に挑戦してみました。できた子には、前に出てきて発表してもらいました。目標にしていた繰り上がりの計算ができる子供たちが半分くらいになったと思います。

 計算ができるようになる以外でうれしかった成果としては、子供たちの中でそろばんを教えあうことができたことです。(ときには大人も子供たちに教えてもらっていました 笑)

そろばん指導の改善

 実は、今まで紹介させていただいた内容は最後のそろばん指導の様子で、初回の授業はお世辞にも上手くいったとはいえないものでした。ここからは、指導の内容をどう改善したのか、またそこから得た教訓をまとめてみました。

人に披露する機会をつくる
 みんなの前で発表する機会を設けると、真剣度合いが変わってきました。ーつの答えのない課題をみんなで披露できるようにすることは、飽きさせない工夫になったと思いますし、なによりこれで本当にあっているのかな?という不安を消して自信を持ってもらうことに繋がっていったと思います。(日本では、検定試験などがそろばんに真剣に向かわせる機能を果たしていますが、今回は実施できなかったのでこの方法を試してみました)

一人じゃ何もできない
 当たり前のことなのかもしれませんが、そろばん指導をしていく中で、強くそう感じました。一つ例をあげると、私は英語でそろばんを教えていたのですが、どうやら現地の子供たちは英語があまりわからないようでした。それから、そのことを現地のNPOの方に相談して、タガログ語の通訳をしてもらえるようにお願いしました。快く現地の方にも協力していただいて、指導の進み方が誰からみても明らかによくなりました。自分が協力して欲しいことを正直に、周りの方に伝えることが改善に繋がりました。一人で取り組むよりも、みんなで取り組む方がよい結果を生むという経験になりました。そろばん指導をしていく中で、現地の子供たちだけではなく現地で生活する大人の方やNPOの職員といったたくさんの方と関わる機会が生まれ、僕自身がたくさんのことを教えてもらうことになりました。

そろばん指導の課題
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がんばりを評価できなかったこと
 がんばった子供たちを表彰するなどして、そろばんが得意な子供たちのやる気を加速させるような仕組みが準備できなかったことです。プチそろばん大会を開いてみたりしてもよかったのかなぁと思っています。

教材を準備できなかったこと

 繰り返し練習できることの重要性に渡航期間の後半で気づいたので、教材を作ることが間に合いませんでした。(教材の必要性は恩師に言われていたことでした。反省します)

継続して長期間そろばんに取り組んでもらうこと
 算数教育への貢献のためには、一番重要なことであると思うのですが、このことが一番難しいことだとも感じました。いかに、そろばんが将来の自分にとって役に立つかという視点やそろばん自体がみんなと頭を使って速さを競えるものだという視点など、いろんな視点でそろばんの楽しさを伝えることが必要だと思い知りました。
 次回のそろばん指導ではこの課題の解決にも取り組めるようなかたちに工夫してみたいと思っています。

その他のそろばん活動
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 スラム街でのそろばん指導以外に、特別支援学校でのそろばんデモンストレーションや、現地大学生にそろばんを披露してディスカッションを行ったりしました。

“そろばん”と私
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 正直、私はそこまで熱心にそろばんに取り組んだことのない人だ。小学生の習い事のーつとしてそろばん塾に通い始め、段位を取って小学校卒業とともにそろばん塾には通わなくなった。

 しかし、あのとき一生懸命に練習した”そろばん‘は、思わぬところで私を助けてくれた。受験勉強で、レジの計算で、そして自分に自信がなくなったときに。

 大学1年生の夏に私はフィリピンに行った。そして、そこで出会ったのは、どんな環境であっても懸命に生活をする人たちだった。その人たちの中に、好きな教科は数学だけれども簡単な計算が苦手なんだという子供がたくさんいた。そこで、私が真っ先に思い浮かんだのは自分を何度も助けてくれた”そろばん”だった。

 帰国してから、その思いを至るところで話し、たくさんの人に助けていただきながら、今回のそろばん指導を実現することができた。

 そろばんと私との不思議な縁は、たくさんのことを教えてくれたし、与えてくれたと思う。そろばんがなければ、出会うことのなかった人たちがたくさんいると思うと不思議な気持ちになる。

 フィリピンでの6週間の指導を終えて、「このそろばんというものが、どれだけ素晴らしいかを誰かに教えたくなる」不思議な力があると思うようになった。

 あんなに計算が得意になっていくという「驚き」が、多くの人をそろばんに惹きつけ、私のように消極的な人間をときに積極的に変えてくれる。本当に、そろばんをしていてよかったと思う。

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