第61回全国珠算研究集会<研究発表> 

研究発表

 西郷隆文氏による講演「薩摩の郷中教育と薩摩焼」につづき、全珠連鹿児島県支部の戸山沙織氏より、自身の指導経験をもとに「そろばん教室に通う気になる子供 -発達障がい者への取り組み-」という内容で研究発表がなされた。

1、はじめに
 最近よく耳にする「発達障がい」。そう診断されなくとも似たような症状の生徒は年々増えてきたように思う。突発的な言動や不器用さが目立ち、その言動が理解されず、誤解や偏見の目で見られたりする。

2、「発達障がい」とは
 多く見られる「発達障がい」とは学習障がい(LD)、注意欠陥・多動性障がい(ADHD)、自閉症スぺクトラム(連続体)(ASD)の3つである。

障がい

3、取り組むきっかけ
 現在、小学2年生の姪が自閉症スぺクトラムであったことがきっかけ。彼女は出生時、仮死状態で生まれ、その影響で脳にダメージを被り、1歳半ぐらいから「発達障がい」の症状が出始めた。

4、そろばん教室に通う気になる子供(A君の場合)
 小学1年生で入塾、当初から周りの空気が読めない・言語力が弱い等の自閉症スペクトラムのアスペルガー症候群の特徴が見られた。当初は失敗を恐れる傾向があったので、取り組みやすい課題を与えることで本人のプライドを傷つけないように留意して指導し、2年生の途中からは徐々に慣れてきた。現在は4年生でアスペルガー症候群の基本的な傾向は変わらないが珠算暗算共に段位を取得し、自信になっている。

5、トラブル時の対処方法
 パニック時は何を言っても聞き入れないので、落ち着くまでそっとしておき、頃合を見て「失敗しても大丈夫だよ」と声かけをする。他には小さな成功体験を積み重ねることで自信を付けさせる、一度にたくさんの課題を与えないようにする、安心できるようにいつもと同じ環境づくりをする等を心がけている。

6、言葉が理解できない子供への対応
 具体的にわかりやすい言葉を使うように心がける。必ず「○○君、静かにしなさい」というように、主語(名前)をつける。主語をつけないと何でも自分のことだと勘違いしてしまう。

7、グレーゾーンの子供について
 幼少期に「発達障がい」に気づき、専門的な訓練をすると就学前にコミュニケーション能力もつき、訓練の効果が出る。グレーゾーンの子供を健常者と同じ扱いをしてしまうと誤解や偏見、いじめ等不当な扱いを受ける可能性が高いので、早期発見が大切である。時には保護者へ知らせることも必要である。我が子が「発達障がい」であると理解している保護者、理解できていない保護者、そして認めようとしない保護者がいるのでタイプ別に応じた対応をしている。

8、おわりに
 「発達障がい」に対して2つの見方がある。①障がいのある子②高い壁を乗り越える能力のある子である。学校は集団指導であるが、そろばん教室では一人ひとりの子供に合わせた指導ができる。障がいのことだけにとらわれず、特別扱いをせず、長所を伸ばすことを心がけている。

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