みちしるべ <ソロバンと新運動野> 

みちしるべ

<ソロバンと新運動野>

 「ソロバン」という道具は、指で操作する。最近の脳研究で明らかにされたことであるが、ボールを握る時、手のひらにのせて握るのは、パワーグリップで、下等なサルでもできる。しかし、指先だけで握るのは、プレシジョングリップで、高等なサル、類人猿とヒトしかできない。前者では、系統発生で旧運動野が働いており、後者では、系統発生で新運動野が働いている。
 新運動野を強く働かすのは前頭前野で、前頭前野は使えば使うほど、良く働くようになり、考えること、注意を向けること、判断することがよくできるようになる。計画を立てて、何かをする能力(ワ―キングメモリー、作業記憶)も高くなる。「暗算」をする時、前頭前野(左の方が強く働く)と頭頂連合野が良く働くことが、最近報告されている。
  
 ソロバンと暗算をして、ワーキングメモリー能力を高めれば、計算能力を高めるだけでなく、他の学業成績も良くなると思われるが、まともな研究論文はないので、仮説でしかない。
 
 アメリカで、肥満児を放課後(週5日、10週間)20分、40分と運動(エキササイズ)させたところ、前頭前野のワーキングメモリー能力が増し、学業が向上した。20分より40分の方が良い結果であった(Davisら、Health Psychology,30:91,2011)。ソロバン、暗算とワーキングメモリーの関係の研究論文は、相当数あるが、信頼できる良い研究は見当たらない。前頭前野、新しい運動野とソロバン、暗算の研究が出てきてほしい。
  
 アインシュタインは、永年バイオリンを演奏したので、左手支配の右運動野が大きくなっていることが報告されている(2013)。ソロバンをしても、あるのでは。
  
 運動野(新旧とも)が大きくなると、ニューロンの数が増え、運動能力が増す。運動野以外の領域への影響は不明である。また、新運動野の神経細胞は脊髄の運動細胞に直接つながっているので、早く神経情報を送ることは出来るようにはなるのだが。


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