YELL ~社会の第一線で活躍するそろばんOBからの応援メッセージ~ 

YELL  VOL.3
~社会の第一線で活躍するそろばんOBからの応援メッセージ~
from 親泊 ひより (東北大学 医学部医学学科)
略歴
※連盟広報紙「全珠連会報」第165号に掲載

 私は現在、東北大学の医学部に通う大学6年生です。今回、数々の素晴らしいOBの方々に混じり、恐れ多いのですがこの「YELL」を書かせて頂くことになりました。そろばんを卒業した今でもこのようにそろばんとの縁は続いており、とても幸せなことだと思っています。
 まずそろばんとのなれそめからお話しようと思います。私のそろばんとの出会いは少し変わっていたかもしれません。私は沖縄県浦添市で生まれ、幼稚園生のときに、そろばん教室に併設されていた体操教室に通うために宮城珠算学校を訪れたことから始まりました。体操教室に申し込む時にそろばん教室にジュニアクラスがあることを知り、なんとなくそろばん教室にも入ることになったと記憶しています。
 私がそろばんを頑張るきっかけになったのは、入塾してしばらくして開催された「ちびっこ大会」でした。これは県内の幼稚園生以下の大会で、参加者全員がメダルやお菓子を貰えるのですが、そのときもらったメダルが子供心にとても大きくキラキラ輝いていて、もっと色々なメダルがほしくなり、そこからそろばんへの意気込みが変わりました。
 家でも数時間練習するようになり、洗濯をしている母の横でかけ算九九を唱えたりしていました。練習すればする程どんどんのめり込み、取り憑かれたように毎日毎日そろばんをしていました。今思い返すと、生まれて初めて頭の中で何かが動いている感覚が新鮮で、もっともっと動かしたい、という衝動に駆られていたのだと思います。
 宮城清次郎先生、宮城忍人先生はじめ、多くのスタッフの方々のご厚意でジュニアクラス以外の教室にも参加させてもらい、私は順調に級を卒業し、段を取得することができました。選手団にも入れてもらうことになりました。当時は私より年上が大多数で、最初は追うものとして練習に励んでいました。私は当時とても負けん気が強く、練習で点数が負けるととても悔しくて、トイレを我慢して練習する程でした。周りに年上が多かったことで、あんな風に速く計算したい、上の人に追いつきたいという気持ちが掻き立てられましたし、明確な目標が目の前にあり、恵まれた環境だったと思います。大会前には 宮城清次郎先生の家で10数人での合宿があり、朝から夜までそろばんをして、みんなでご飯を食べ、就寝前にはトランプをしたりと、とても濃厚で楽しいそろばん生活を送っていました。幼少期に夢中になれるものに出会えたことはとても幸せだったと感じています。
 数多くの大会に出場させてもらいましたが、印象深いのは全日本通信珠算競技大会の4年生以下の部で3年間1位を獲れたことです。練習したのに本番で手が動かなかった大会、大事なところでミスしてしまった大会など上手くいかなかったことは多々ありましたが、3年間この大会での1位を守れたことは、今でも誇りに思っています。特に最後の年は満点で1位をとり、感無量でした。
 練習した分、緊張し手も震えましたが、その緊張に勝って最高の結果を出せた経験は私の現在の精神力の根幹になっています。
 私は中学生で卒業しましたが、5歳からのそろばん生活で得たものは多くあります。まず、宮城清次郎先生が私に教えてくれた「継続は力なり」という言葉です。本当にそのとおりだと思います。毎日練習し、何故今日はうまくいかなかったのか、次はああしてみようと日々考えていけば、どんな困難なことも大抵どうにかなると私は考えられるようになりました。
 また、一度本気でそろばんを突き詰めた経験があるからこそ、勉学やその他の場面でも、今現在私の努力はまだ足りない、もっと行けるはずだと踏ん張りが利くようになっています。ただ正直なところ、もっとそろばんを続けていれば「継続は力なり」の別の意味だったり、違う世界が見えていたのだろうかと後悔することもあります。当時一緒に練習していた仲間が現在も大会に出場し、輝いている姿をみると、10年以上続けるには並大抵の努力では無理でしょうし、今どのような世界を見ているのだろうと羨ましくなることもあります。   
 もしこの文章を読んでいる学習者の方がいれば、もうそろばんはいいかなと思ったときに、もう1回だけ一生懸命そろばんを続けてみてから進路を決めてほしいと勝手ながら思っています。
 そして最後に、高校生、大学生初期の頃は、そろばんを頑張っていたことからのメリットは集中力がついたこと以外は、正直あまり感じていませんでした。しかし、大学5年生から病院実習が始まり多くの先生と会うようになり、尊敬できる先生やバイタリティ溢れる先生は、今まで何かしら頂点を極めたり成し遂げた経験を持ち、自分の中に確固たる自信と精神力を持っている先生が多いことに気づきました。これ以上できないくらい努力し、道を極めた人はかっこいいです。これは病院だけではなく、社会でも同じだろうと思います。「何か本気で頑張ったことある?」と聞かれた時に私は自信を持って「そろばんで1位をとったことがあります」と答えることができ、一目おいてもらえることもあります。今になって、そろばんをやっていて良かったと心底思います。
 やる気が出ないとき、疲れて頑張れなくなったときには、沖縄からここ仙台に持ってきたそろばんケースをひらいて当時を思いだし、自分を鼓舞させています。
 ある先生が言っていました。「自分は頑張っているという人は多いけれど、本当に何かでトップを目指した人にしか一流になるための本当の努力量はわからない。だから、ただの頑張っているという言葉には重みがない」
 その言葉を聞いてから、私はそろばんへの感謝の思いが一層強くなりました。トップを目指すという経験ができたのは自信となり、大きな糧となっています。そろばんを卒業した今でも心に誇れるものを私に与えてくれたそろばん、そして先生方には本当に感謝しています。
 そしてそう思うようになった今、この応援メッセージを書く機会を頂きとても光栄でした。
 そろばんを学習しているみなさん、ぜひ上を目指して頑張ってください。

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://zenshuren.blog25.fc2.com/tb.php/251-190aaa98