指から入る日本の心「そろばん」  

新・海外珠算教育事情

指から入る日本の心「そろばん」
 ~アメリカ・オレゴン州ポートランド・坂林美和子氏のそろばん指導だより~

ポートランドで指導して8年目・坂林氏
※ポートランドで指導して8年目・坂林氏

 アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド。自然に囲まれたこの地で、「JAPANESE ABUCUS MATH SCHOOL」を開き、そろばんを指導しているのが坂林美和子氏=写真。異文化の地で、地域に珠算教育の種をまき、そろばんのよさを伝えていこうと奔走中だ。その情報を紹介する。

YOKOSO!(ようこそ)「ジャパニーズ アバカス マス スクール」へ
※YOKOSO!(ようこそ)「ジャパニーズ アバカス マス スクール」へ

保護者の理解を得ることが第一

 オレゴン州は日本の本州ほどの大きさがある州で、私一人だけがそろばんを教えています。
 生徒は「日本人」だけではなく、アメリカ人はもちろん中国人・韓国人・台湾人・シンガポール人・インドネシア人・インド人・パキスタン人・ブラジル人・イラン人・チリ人と多様です。
 相手にしているのがほとんど外国人ゆえに「そろばん?」「あー、あれね。数を数える道具でしょ?」「大昔の道具じゃない?」「いまどき、そんな古い物を使って何するの?」「100円で電卓も買えるのに、無駄」と言う人たちばかり。
 そのような保護者、観客に「そろばんとは何なのか?」「素晴らしい暗算教育をしていくための日本の計算道具」ということを理解してもらうことから始めなければいけないので、なかなか思うように事が運ばないのも事実であります。
 そのために、くじけそうになったり、情けない思いをしたりの繰り返しがよくありますが、それでもなお、私が海外でそろばんを教え続けていきたい理由が2つあります。

ただいま指導中。「日本の心」 を教えたい
※ただいま指導中。「日本の心」 を教えたい

「SUSHI(寿司)」の次は SOROBAN(そろばん)

 1つは、「そろばん」は次の「寿司(SUSHI)になる!」と信じているからです。
 私が渡米した16年前、スーパーマーケットには「お寿司」など、売っていませんでした。アメリカ人の友人・知人に「お寿司大好き!」なんて言おうものなら「エー、そんなもの、よく食べるわね…。」と言われたくらいなのです。
 しかし、今では、どこのスーパーにも「寿司シェフ(外国人)」がお寿司を握ってパッケージ販売しています。
 それくらい、アメリカの国でも受け入れられるようになった=日本人(アジア系)ばかりではなく、アメリカ人にも受け入れられた食品になった、ということです。
 しかし、「そろばん」は日本人=アジア系には簡単に受け入れられますが、アメリカ人には、まだまだ手軽なものとしては受け入れられないようです。
 でも、「お寿司」が受け入れられたのだから「そろばん」も受け入れられる!と信じている私です。

そろばんで気付く「日本人」であること

 もう1つは「そろばん」が私に海外で「日本人」という意識を感じさせてくれたことです。
 自分の意思で渡米してきたとはいえ、最初は「模索」の繰り返しでした。自分(日本人)を隠し、他人(アメリカ人)に迎合・模倣することで、自分を探してみたりもしました。でも、「私は日本人なんだ」と教え、自信を与えてくれたのが「そろばん」でした。
 今、そろばんの先生になって、いろいろな国籍の生徒に教えています。自分を「日本人」として改めて気付かせてくれた「そろばん」を通して「日本の大切な心」も教えています。
 「そろばん」は日本の心なのです。指から入る、日本の心。大切に「日本の心=そろばん」を一人でも多くの生徒たちに教えて、広げていきたいです。 

保護者の支持を味方に 
 ~坂林氏のプロフィール~


 富山県高岡市矢部珠算塾の出身。「そろばん全盛期時代の昭和40年代に小学校2年から6年までの放課後、週5日通ったそろばん。このとき身に付けた技術が現在「アメリカ」で私の人生を支えてくれています、と語る。
 ポートランドでそろばんを教えて8年目。東南アジアでのそろばんブームの波に乗り、今は「東南アジア」からの保護者の熱いサポートを受け、少しずつポートランドでもそろばんが広まりつつある、と手ごたえを感じている。また、「全米各地の珠算指導者たちはライバルというより、よき理解者」と語る。

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