みちしるべ 

子どもを教えるときに

玉川大学講師・全珠連学術顧問 向山宣義氏

全珠連学術顧問  向山 宣義(むこうやま・のぶよし)
          (玉川大学講師)

 「教室は間違えてもよいところだよ」とは、子どもたちを教える教師の非常に大事なメッセージである。
 それは、子どもはさまざまな知識や技能、ものの見方や考え方などを学んでいく過程にあり、そこでは自分の考えや方法、気づいたことや感じたこと、疑問などを素直に出せることが大切だからである。
 なぜなら、それによって子どもたちの学習は能動的で、深まりのあるものとなるからである。そして、当然、子どもなりの考えや方法などの中には間違いもあり、それが当人ばかりか、教室全体の学習を深める課題にもなるからである。そうしたことを通して、子どもの学習への意欲と態度が育っていくことが期待できるからである。
 4年生の算数の授業でのことである。わり算の筆算の授業の2時間目で、割り切れない場合についての学習である。76÷3を筆算でやってみようという場面である。
 参観していた私の目の前の子どもは

a.jpg

 としていた。私は、後でこれを取り上げたらよいだろうな、と思いつつ、他の子どもたちの様子を見て、再び、その子どものノートを見たら、先ほどの計算(ア)は消されて、次のようになっていた。

b.jpg

 授業をしている先生は、先の(ア)のように計算をした子どものことは把握できなかったようであったが、例としてそれを示して、(イ)のようにするとよいことを指導した。
 これは、子どもの考え方を事前に予測して授業に臨むという教師としての大事な姿勢の表れである。しかし、(ア)をもっとうまく生かしたかった。たとえば、次のようにすると、

c.jpg

 やり直さなくても、「まだ割れるときはさらに割ればよい」というわり算の仕方の要点に気づかせることができるのである。
 今、若い教師が増えている。「教室は間違えてもよいところ」をモットーに、子どもを教え育てる力を身に付けてほしいと願っている。

*この欄は学識経験者で、全珠連のアドバイザーである学術顧問からご寄稿いただきました。

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