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第41回新算数教育研究会箱根セミナー 

第41回新算数教育研究会箱根セミナー

 新算数教育研究会主催の第41回箱根セミナー(後援/文部科学省)が、12月25・26両日「箱根小涌園」にて開かれ、全国より約350名が参加しました。


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<本年の研究テーマ>

数学的に考える資質・能力を育てる授業の創造

<実施内容>
◎第1日目
1.「深い学びをどうつくるか」
パネルディスカッション (講師4名)
2.参加型授業づくり講座
(5つの講座で実施)
◎第2日目
分科会講演と提案
(数と計算、量と測定、図形、数量関係など実践的な研究発表)


 教員を目指す大学生から経験豊かなベテラン指導者まで、2日間にわたり活発な意見交換がなされました。

 次期学習指導要領を見据え、「主体的学び」を意識した、内容の濃い勉強会でした。

 なお、改築にともない、長年実施会場として親しまれた「箱根小涌園」での開催は本年で最後となり、次回からはニューウェルシティ湯河原(静岡県)での開催が予定されています。

【開催案内】歴史から学ぶ珠算講座 

日本そろばん資料館企画
歴史から学ぶ珠算講座開催案内
桜に誘われて東京へ・・・おいでください

 4月3日(月)、日本そろばん資料館において「歴史から学ぶ珠算講座」を開催いたします。

 まだ、寒さ抜けぬ今日この頃です。
 春の一日、先生方のさらなる知識向上の手助けになればと、「歴史から学ぶ珠算講座」を開催いたします。
 日本そろばん資料館が完成して早4年になろうとしています。
 「温故知新」この4文字に、各種日本文化の伝統・重みを感じ、心に刻んでいる私たちです。
 珠算界の宝「日本そろばん資料館」には、その重みがたくさん詰まっています。
 毎回、中身の濃い内容となっています。館内も少しずつではありますが、展示内容に変化を持たせています。
 先生方お誘い合わせのうえ、奮ってご参加いただければ幸いです。
<日本そろばん資料館・館長 岡久泰大より>

<要項> 
開催日:平成29年4月3日(月)
会場:全国珠算教育連盟「日本そろばん資料館」
主催:(公社)全国珠算教育連盟
申込先:全国珠算教育連盟東京事務局(TEL:03-3875-6636)
定員:各講座15名 ※一講座のみの出席も可能です。
締切:平成29年3月28日(火) ※定員に達し次第締め切らせていただきます。
単位認定:研修単位各2単位

<講座内容>
第1講座(午前の部)10時30分~12時30分
和算書にみる「目付絵」
講師 太田敏幸学芸員

第2講座(午後の部)14時~16時
そろばんの歴史から「算数そして九九の応用」
講師 谷賢治学芸員

スポットライト2017(各5分程度)
太田が斬るこのそろばん・・・名人「初代・永台」永場台三郎・作そろばん(見る・触れる・弾くを体験する、その価値はいくら?)
谷が選んだこの1冊・・・輟耕録(てっこうろく)(何が・どこが、この本の魅力であり、知っておくべきなのか)

<過去の講座>
・第3回
・第2回
・第1回

みちしるべ 社会的責任を果たして持続的な成長を 

みちしるべ
社会的責任を果たして持続的な成長を
from 木田 稔(全珠連理事・公認会計士・税理士)

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「社会的責任」あるいは、CSR(Corporate Social Responsibility) という用語を耳にされる機会も多くなってきたのではないでしょうか。社会的責任について、ボランティア活動や寄付、法令規範の順守、あるいは地球環境の保全や地域社会への貢献などの倫理的、自主的な活動を思いうかべる方も多いかと存じます。
 
 近年は、社会的責任についてその活動をより広く考える動きが発展しています。企業などの組織は事業活動を行っていくうえで、従業員、顧客、取引先、仕入先、消費者、株主、地域社会、自治体等の多くの利害関係者(ステークホルダー)が存在します。ここで、企業などの組織が経営を行ううえで、利益を追求することなどの自己の目標の達成のみならず、これらの多様な利害関係者との間で良好な関係を築くことによって、はじめて持続的に活動を続け、発展することができると考えたうえで、組織活動が社会および環境に及ぼす影響に対して組織が担う責任を社会的責任であると考えられるようになりました。そして、組織が持続的に活動するためには、社会的責任を果たすことが不可欠であるとともに、社会的責任を果たすことは組織の経営そのものであるとして積極的、戦略的にとらえられています。このような潮流を踏まえて欧米では、大規模な企業を中心に、企業の売上や利益などの財務情報のみならず、環境や社会への配慮、知的資産から、ガバナンスや中長期的な経営戦略までを含む非財務情報を投資家などに伝える「統合報告書」(Integrated Reporting)が作成・開示されるようになりました。日本でも現在200社以上の企業が統合報告書に取り組み、このような社会的責任を意識した統合報告書の作成・開示の動向は世界的に拡大しています。

 全国の珠算教育者が昭和28年に全珠連を設立されて以来、貴連盟では、珠算教育の様々な課題に取り組み解決し、発展させて来られました。平成25年には公益社団法人に移行され、ますます社会からの期待が高まっているところです。社会的責任の観点からは、今後も引き続き、その使命を認識し、貴連盟に関係する多くの利害関係者と積極的に対話を行い、優先して解決すべき課題を認識し、活動を行うことが必要です。その結果として、法令違反などの社会の期待に反するような行為を避けることで事業継続が困難になることを避ける、知名度や評判、ブランド価値が向上する、会員とその従業員のモチベーションが高まる、教場の生徒や保護者との良好な関係が構築されることが期待され、社会から強固な信頼を得ることとなります。貴連盟の益々のご発展を心よりお祈り申しあげますとともに、会計の専門家として微力ながらもお役に立てればと考えております。

※連盟機関紙「全国珠算新聞第622号(2017.3)に掲載

YELL VOL.10~社会の第一線で活躍するそろばんOBからの応援メッセージ~ from福島 弘之 

YELL  VOL.10
~社会の第一線で活躍するそろばんOBからの応援メッセージ~
from 福島 弘之(パナソニック株式会社 珠算部)

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<略歴>
・昭和52年
 大阪府吹田市生まれ
・兵庫県神戸市、高知市、徳島市、兵庫県西宮市の4地域で珠算を修学
・平成12年 
 関西学院大学商学部 卒業
 松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社) 入社
・平成25年
 インドネシアの海外子会社に経理担当取締役として赴任
・パナソニック珠算部主将を兼任
【珠算十段・暗算十段】

 私は、まだ現役で珠算競技生活を続けている社会人です。すなわち、そろばんOBでもなく、未だに周りの多くの方から応援していただいているわけであり、YELLの主旨からは外れているかもしれません。しかしながら、光栄なことに本原稿のご依頼をいただきましたので、今までそろばんを通じて得た貴重な出会い、気付き、今後の目標についてお話させていただこうと思います。

 そろばんを始めたのは6歳の誕生日当日、全くそろばんに無縁の親に連れられて教室に行ったのが最初でした。小学校1年生から許される入塾を、無理言って入れてもらい、ちゃんとやらないとすぐやめさせるぞ、と脅されながら始めた記憶が残っています。ある日、教室での隣の席が小学校高学年か中学生のお兄ちゃんで、そろばんの弾きが速いこと、速いこと・・・。あとで聞くとまだ参段とのことでしたが、入塾当初の私にはそれは衝撃的な光景でした。それ以来、とにかくあのようにやってみたいと、練習でも検定本番でも定められた制限時間など眼中に無し、今日はどれくらい短く、速く、そして激しくそろばんができるか、ある意味「競技気質」が私の中に生まれたきっかけになったように思います。

 その後、親の転勤で転居が数回あり、そのたびにそろばん教室も変わり、新たな先生にご指導いただきながら、そろばんを続けてきました。ありがたいことに常に誰か競争相手がおり、かつ競技好きな先生ばかりでしたので、自分に合った形で継続し、中学入学と同時に再び転居で4つ目のそろばん教室に移りました。初の男性の先生であったこと、中学生ですから、それなりに緊張感を滲ませながら、おとなしく最初の練習に臨んでいたのですが、乗算・除算と終わり、次の見取算が始まった瞬間、計算準備で構えた私のそろばんを取りあげ、「何そろばん使ってるんや!!」と。今となれば、全日本大会でもほとんどの人が見取算は暗算で行うことがスタンダードですが、片田舎から出てきた私は、何を怒られたのか、何が問題なのか、ただ固まるばかりでした。先生の想像をはるかに超える私の深刻な暗算不得手により、その後の昇段(全珠連四段→五段)に5年もかかるというオチもつくのですが、あの瞬間のおかげで、今の暗算力勝負の時代でも現役として続けられる素地となったことは間違いなく、今では酒席の笑い話の一つとして、よき思い出です。

 社会人になっても、そろばんを通じた出会いが私を豊かにしてくれました。パナソニック株式会社に入社し、今では企業で唯一存在している珠算部にも入部、そこで出会った仲間は私より遥かに上手な人ばかりで、練習を一緒にすることで、かなり成績的にも引っ張りあげてもらいました。同時に2001年以降の全日本珠算選手権大会のオープン化(予選はなく自由に出場可能)や、多くの新規競技大会の創設などのありがたい流れにも乗り、全国にも友人やライバルが増え、本当にやりやすい環境でそろばんを続けさせてもらっています。

 自分自身の今までのそろばん人生を振り返り、改めて思うことは、そろばんを通じて出会った方々や、与えていただいた経験等のおかげで、今の自分が成り立っていると強く思います。そして、それが不思議と繋がっていたり、挫折しそうになったときにちょうど仲間が前向きになれる元気を与えてくれたり、本当に幸運であると心よりそう感じています。 一方で、その幸運を100%生かすことができたかというと、今となればもっとあのときにがんばれたのではないか、もっと期待に応えられたのではないか、と後悔することもたくさんあります。運は自分ではコントロールすることができませんが、その巡りあわせに対してどう生かすか、どうアクションを起こすかはすべて自分次第です。
 とにかく全力でそろばんに向かいあっていくことが、何よりの恩返しになるのではないかと感じています。

 話は変わりますが、私は2013年よりインドネシアで働いています。安い労働力を求め、ほとんどのモノづくりを海外移転させてきたメーカーの宿命ではあるのですが、いざ自分自身が海外で働くことになるとは想像できず、不安しかない中で急ぎ赴任したことを昨日のことのように覚えています。
 しかしいざ赴任し、身を助けてくれたのもそろばんでした。インドネシアの人から見ると、私はどこから来たのか得体の知れない謎の外国人、最初は警戒しながらの関係で仕事が始まります。そんな人間が資料を数秒ながめただけで、ここの部分が間違っている、こんな答えの桁にはならない、これくらいの数値になるから見直して、というふうにバシバシ言い当てていくと、インドネシア人からするともう理解不能、マジックのように感じたようです。インドネシアの国民性を表わす言葉に「kira-kira(キラキラ)」というものがあります。これは和訳すると「だいたい、おおよそ」という意味で、よくいうと細部にこだわらず大らかな性格、悪くいうと大事なところでも適当に済ませるというような様子を表現しています。そういう背景もあり、読み方からも比較的日本人が最初に覚えるインドネシア語ですので、「これとそれを掛けて、この数字で割ったら、kira-kira 125.6%になるやろ?」と会話すると、「ボス、それ、kira-kiraじゃないです」と、一体どうなっているんだ、という顔で笑ってくれます。数字や計算は世界共通、そろばんが距離を縮めてくれた一つの出来事です。
 一方、インドネシアは日本の40年ほど前の状況のような気がします。急激な経済発展が始まり、多くの人にとって憧れの物であった車やバイクを手に入れるようになり、世界一激しいといわれる交通渋滞が毎日起きています。さらに、これから学歴社会が始まるといわれており、子供にかける学費に給料の大部分を費やすケースや、仕事をしながら自分自身も大学に通う従業員も多くいます。そろばんにおいても大きな珠算団体が存在し、数回私も教室に突撃訪問させていただきましたが、5桁の見取算を一括で暗算しようとしている子供も見かけるほど、将来は今の日本に負けないくらいのレベルになるのではないかと感じざるを得ません。 

 私自身はさすがにこれから選手としては大きく伸びることはないでしょう。一方、これも本当に偶然が重なりインドネシアに来て、また新たに刺激を受けたもの、得たものは本当に多くあります。今までそろばんを通じて私が得た貴重な出会いや経験を、今後、逆に影響を与える側の存在にどうやってなっていこうか、たまにふと頭の中を巡るときもあります。まだまだ私自身は修行が足りませんし、具体的にどのような形で、というアウトラインも全く見えておりませんが、後悔なく真摯にこれからもそろばんに向かいあっていきたいと思っています。このすばらしいそろばんを通じて繋がる未来に向かって、皆様とご一緒に、これからもそろばんにYELLを送っていきたいと思います。  以 上

※連盟広報誌「全珠連会報」第172号(2017.3)に掲載