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そろばんのルーツ1
そろばんのルーツは、どの文献を調べても紀元前二~三千年頃、メソポタミア地方で使われた“砂そろばん”ということになっている。だが、詳細なことは今でも不明で、多分に推測の域を出ない。
六十進法に基づく数学や幾何学が発達していたことは粘土板で証明されているが、そろばんに関する明確な回答が出ていないのも事実である。ともあれ、砂の上に線を引き、小石を置いて計算していたことは分かっているようだ。
ピーター・S・ラドマンはその著書「数学はじめて物語」の中で「そろばん(Abacus)という言葉は、ほこりを意味するセム語派の言葉に由来している。たとえば、ヘブライ語ではほこりを『Abk』と言う』と記している。
このほこり、または砂そろばんは、中東から古代ギリシャや古代ローマに広がった。Abkはギリシャ語ではAbaxとなって、やがてAbacusと転訛し、そして砂から平面台や卓に発達することになる。
このギリシャには確かな証拠がいくつかある。サラミス島に残された大理石のAbaxは、二組の平行線が引かれ、三辺に数記号があるので明らかに線そろばんだ。
また、ダリウスの壺と呼ばれる遺跡もある。これは紀元前五〇〇年、ギリシャを征服したペルシャ王ダリウス一世の頃のもので、壺には会計官がAbaxの上で小石を操作する図が見える。
一方、ローマでは線そろばんのほかに溝そろばんも使用していた。その起源については不明であるが、手のひらに収まるサイズで作られ、桁の部分が溝になっている。そこに玉がはめ込まれ、上下に動くのだ。さらに注目すべきは四つ玉である。
現在、ローマのマッシモ宮国立博物館とパリの国立図書館付属博物館に収蔵されている。いずれもブロンズ製の標本である。ところが、溝の数が少ないのと、はめ込み式なので、素早い計算や検算には不向きであった。
残っている溝そろばんも極端に少なく、ローマ以外で使用された形跡もないので、あまり普及しなかったようである。そうすると、ローマでは線そろばんが主であった可能性が高い。ちなみに、線そろばんで作った小石のことをカリクリと呼んだが、計算する(Calculate)の語源になった。
メソポタミアから古代ギリシャ・ローマと概略遡ってみたが、中東から西洋にかけてのそろばんも豊かな歴史を持っていたことは確かなようである。
- [2013/04/12 10:21]
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