第53回全国珠算研究集会 開催 

ようこそ! 夢と浪漫の長崎へ

 第53回全国珠算研究集会 開催
       
 信州「長野県・長野市」から九州「長崎県・長崎市」へ。第53回全国珠算研究集会は平成18年12月26日、長崎市・長崎市公会堂において全国各地から約450名の珠友が参加して盛大に開催された。(主催・社団法人全国珠算教育連盟、後援・文部科学省、長崎県教育委員会、長崎市教育委員会、NHK長崎放送局ほか)

約450名が充実の研鑽=長崎市公会堂

※約450名が充実の研鑽=長崎市公会堂

 九州の北西、海に囲まれた長崎。日本史にも西洋文化との交流や歴史的な出来事で多くの名を残し、随所に歴史的建造物が建ち並び、情緒ある姿を今もとどめている。
 定刻9時、梶川副理事長の開会のことばに続き、国歌斉唱、賀藤理事長から「本日、全国から参加した会員がより研鑚して、大いなる財産となるよう祈念したい」と主催者代表挨拶があった。
 続いて文部科学省・吉野弘一氏から次のように挨拶があった。
 「生涯学習に役立つものは、基礎・基本であり、それがあって生きる力が生まれる。そろばん学習から基礎学力を養い、将来への教養を高めるための確かな学力向上を期待している。健やかな子どもたちの成長の助けとなるような皆様の活躍をお願いしたい」。
 このあと金子原二郎県知事、有村治子参議院議員、北村誠吾衆議院議員ほか来賓各位から挨拶が行われた。
 来賓紹介・祝電披露に続いて開催地・山本支部長の歓迎挨拶後、村上研修学教委員長から研究助成論文審査経過報告、研究集会発表講師紹介、全珠連歌斉唱、日程説明の後、午前10時から特別講演が開始された。

 今回の講演は歌手・タレントの大奈(だいな)氏が担当。「魂のド真ん中~夢・うた・人~」というテーマで行われ、巧みな話術で、歌あり、笑いあり、有意義な時が過ぎた。
 昼食後、研究発表「小学校算数から『そろばん算数』への取り込み研究について」(広島県・本井照人氏)、特別発表「フラッシュ暗算の導入」(検定競技委員会委員・伊藤孝広氏)、「珠算教育の伝統と可能性」(松下電器産業株式会社珠算部監督・岡田秀樹氏)の3名が熱弁をふるった。
 なお、今回、地元・長崎女子商業高等学校生徒・約80名が授業の一環として、午後からの研究発表ほかを熱心に受講した。
 午後4時、村上研修学教委員長の御礼挨拶、次回開催地(神奈川県)・及川支部長挨拶、大竹研修学教副委員長の閉会のことばで、全日程が無事終了した。

連盟役員と講演講師・研究発表者ほか記念撮影

※連盟役員と講演講師・研究発表者ほか記念撮影

♪ゴーゴーそろばん隊♪講師と受講者が大合唱 

講演
 「魂のド真ん中~夢・うた・人~」

  講師 大奈(だいな)氏
          (歌手・タレント)


歌を通して人との縁(えにし)を大切にしたい・大奈さん

※歌を通して人との縁(えにし)を大切にしたい・大奈さん

 大奈の「大」と「奈」は、大阪と奈良でなくて、「奈」は一文字で「如何(いかん)せん、どうしましょう」という意味。皆様に「どうしよう、あの娘、大きくしよう」という意味があります。
 小学校3年生でそろばんを習っただけですが、歌を通して珠算界の方々とお会いすることができたのを機に、違う方向からそろばんを応援していこうと思いました。医学博士に推奨していただき、指先を使い、ゆっくりとしたストレッチ運動、リズムに乗った体操を振り付けしてもらい、「ゴーゴーそろばん隊」ができました。
 人は1分間に16~17回の呼吸をします。歌を歌うと4秒に1回程となります。大きく息を吸い、声を出すと、横隔膜の下方にある自律神経を刺激し、バランスを良くします。
 自分だけが「ガンバル」のではなく、自分が「ガンバル」中で、出会う人との縁(えにし)で、いろいろな道に導いていただける。このえにしを大切にしています。
 この2日間、先生方の元気さに大変驚いています。1つのことを長年にわたり、やり続けられる、またやり続けたい物に出会えたことは素晴らしいことです。その先生方と私の仕事を通して“そろばん”の良さを伝えていきたいと思っております。
 「ゴーゴーそろばん隊」を使っていただく中で、歌いながらの体操を通じ、脳と体の活性化、そしてそろばんに対するイメージを明るく元気なものに、また子どもたちに数字に楽しくなじんでもらい、高齢者の認知症予防にも、広い年齢層の中でコミュニケーションをとるものとして、大いに活用してほしいです。

ステージで若さいっぱいの実演

 「応援する力」「元気」「勇気」を持つ歌手、大奈さんの「夢・歌・人」の話が終了し、引き続き、「ゴーゴーそろばん隊」の歌と振り付けの指導に入った。

 『 ねがいましてぇ~は  いちえんなぁ~り  にえんなぁ~り  さんえんなぁ~り…』元気な歌声としなやか体の動きで、最初に手の動き、そして体の動きの指導。賀籐理事長も大奈さんに誘われ、壇上に上がり、模範演技を行った。
 受講者全員が大奈さんの動きを真似て、大合唱。その後、質問コーナーがあり90分の講演は楽しく終了した。
 なお「ゴーゴーそろばん隊」のDVDでは、ゆっくり説明しながら、振り付けと歌を覚えられるように懇切丁寧に指導をし、かけざん九九のバージョンもある。「イベント等で利用、あるいは個人的に覚えたい方は是非、手に入れてそろばんPRに利用して頂ければ」と大奈さんもコメントした。

講師の動きに合わせてリズミカルに

※講師の動きに合わせてリズミカルに

プロフィール

京都府出身。
応援する力を持つ歌手・タレント。
聖母学院小・中・高卒業後、大阪音楽専門学園卒業後、東京へ。
(女優業・CDメジャーデビュー)
2002年、ふるさと・京都に戻り、再出発。
現在、平安女学院大学2回生(人間社会学部:国際コミュニケーション学科専攻)
剣道初段。
京都商工会議所地域活性化推進特別委員。
珠算文化振興協力者会議委員。
2002年京都パープルサンガ応援歌を初めとして京都に携わる応援歌やテーマソングを多数手がけている。
そして2006年、そろばんの歌「ゴーゴーそろばん隊」をリリース。
一方で、京都ラジオのパーソナリティ、京都テレビの番組で準レギュラーとして出演中。

小学校算数から『そろばん算数』への取り込み研究について 

研究発表
「小学校算数から『そろばん算数』への
   取り込み研究について」


  広島県 本井照人

生徒いきいき、学力アップ・本井氏

※生徒いきいき、学力アップ・本井氏

 学習指導要領改訂があった頃、全珠連「そろばん算数検定」が始まった。すばらしいタイミングだった。しかし、現在に至るまで「そろばん算数検定」を実施している先生が非常に少ないのが残念である。
 そろばん塾に対する保護者の期待の一つは、「学校での学習時間が減ったため、そろばん学習=算数の学力アップ」である。そのニーズに応え、塾を活性化させるのが「そろばん算数検定」の活用である。
 現在の「そろばん算数検定」の級と小学校学年別算数の関連でみると、「そろばん算数」は小学校の算数の一部分であり、学年にまたがっている。そして「そろばん算数」教材は練習問題が少なく、急激に難しくなるという課題が見つかった。
 そこで「そろばん算数検定」を発展させ、塾を活性化するために、教材開発を自らの手で行うことにした。次の3項目の規則や内容を比較検討して等級を位置づけた。

 ☆珠算検定試験規則
 ☆そろばん算数検定試験規則(文章題)
 ☆小学校の算数
  そろばん算数10級は小1の算数を位置づける
   (1桁から2桁の加減算)
  そろばん算数1級は小6のレベルの高い問題と
  珠算検定1級応用計算

というように、各級を小学校の算数と位置づけ、問題と位置づけた。(本井そろばん教室のホームページに教材がある。)

 教材にもいろいろ問題点はあるが、次のことに留意している。
  ①各級の学習順序を学校に合わせる
  ②新しく学習する項目には、分かりやすい解説を入れる
  ③生徒との間で問題の共有化を図るため、生徒の目線に合わせた
   分かりやすく、簡潔な言葉を使用する
  ④難易度は各学年の後半にかけてアップさせ、上の学年との格差を
   少なくする
  ⑤文章をよく読まないと解けない問題や難易度の高い問題は
   繰り返し出題。
  ⑥常に発展的な問題開発に努める
  ⑦珠算の1級から3級への橋渡しの基本は崩さない

 「そろばん算数」の練習で今まで解けなかった問題が解けるようになると生徒はいきいきする。学力がアップすれば生徒は増え、教室が活性化される。
 ぜひ、各教室でも「そろばん算数検定」を取り入れてほしいと、発表を終え、最後にサムエル・ウルマンの「青春とは」の詩で結んだ。

フラッシュ暗算の導入 

特別発表
「フラッシュ暗算の導入」

  検定競技委員会委員 伊藤孝広

暗算に興味を持って意欲向上・伊藤氏

※暗算に興味を持って意欲向上・伊藤氏

 学生時代に情報処理を勉強し、20年も前から問題作成等にパソコンを活用している伊藤氏。最初に、見取暗算導入の時期や教室で使用している独自の暗算教材(ステップ1~7まで、それぞれ20~24ページで構成)の説明が行われた。
 その後、全珠連フラッシュ暗算検定ソフトを使用しての氏の教室での実践(練習方法・検定試験・留意点・メリット)が発表された。

(練習方法)
 指導用ソフトを活用して、生徒の練習スタート級を決定し、回転効率を上げるために問題数10問、最後に答え合わせを選択して個別練習を主に行い、たまに一斉練習も取り入れている。

(検定試験の実施)
 受験日告知や申込方法、実施後の生徒や保護者へのアフターケアなど、特に不合格の生徒には必ず、ひとこと添えることを忘れずに指導を行っている。

(留意点)
 導入時に決してあせらないこと。「早く進めるのではなく、よくほめ、生徒に暗算が楽しく大好きになるように」を念頭に指導。イメージを意識させて運指の確認も大切。
 2桁・3桁に入った時の関門に対しては、個人的に工夫した読上暗算を行ったり、自作の見取暗算問題を練習してからフラッシュ暗算の練習へ。検定試験制度の実施によりマンネリ化も防げているという。

(メリット)
 運指を確認できる、筆算式の抑制や分割計算ができない低学年の導入が容易で、「同じ級を繰り返し練習させることで、イメージの定着が図れ、暗算に興味を持って意欲向上につながる」としていて、デメリットは無いのではないか。

むすび
 「見せる暗算としてマスコミにも取り上げられ、また、脳トレブームという追い風に乗っている今、まだ導入されていない先生方が、一歩踏み出してフラッシュ暗算を導入されることをお勧めします。そして、全国で暗算ブームが来ることを願っています」と発表を締めくくった。

珠算教育の伝統と可能性 

特別発表
「珠算教育の伝統と可能性」

  松下電器産業株式会社珠算部監督 岡田秀樹

未来へつなげる珠算教育伝統7か条・岡田氏

※未来へつなげる珠算教育伝統7か条・岡田氏

はじめに
 戦後60年を迎え、国全体を覆い尽くすほどのモラルの倒壊という新たなる難問を珠算に焦点を当てて「日本伝統教育の再生」に対処しなければならない。
 日本の珠算教育の歴史に触れた後、「珠算」は古き昔からの歴史と伝統に裏打ちされた重厚な「技能」で、我が国の繁栄発展の一翼を担ってきたものである。
 それをモラルの倒壊に立ち向かう「日本珠算伝統七項目」として整理し、その可能性について次のように発表した。

伝統1
 「人間教育」では、人としてのあり様を叩き込む、モラル立直しへ珠算道の伝承による確固たる教育の実践。
伝統2
 「情緒の安定」を実現する教育では、集中した鍛錬が、人としての落ち着きを生み出す。
伝統3 
 「能力開発」に資する教育では、脳の活性化ができる人間を作る。脳の活性化の手法・グッズが氾濫する中、珠算こそが本家本元であることをアピール。
伝統4 
 「計算技能」の習得を図る教育では、暗算の素晴らしさを更に国内外に伝えていく、「スピードのフラッシュ暗算」プラス「幅の読上暗算や英語読上算」の活用。
伝統5 
 民間の「珠算塾」の活力を中心にした取り組みでは、塾経営者の情熱が原点。魅力溢れる珠算界の実現と後継者育成システムの確立。
伝統6
 学校教育との連携では、高校珠算部の伝統維持と私立を中心とした小・中学校、大学における珠算部の育成。
伝統7
 企業の人づくりとの連動では、実業界との橋渡しとしての企業珠算部の育成とアジア系有力企業への伝播

珠算教育の未来像
 「能力開発ツール」として珠算の位置づけと今後一層の高まりを期待し、子どもたちだけでなく、年配者への普及や珠算教育ITとのコラボレーションも必要である。
最後に
 「珠算は我が国の歴史と伝統に立脚した確固たる技能。国の財産ともいえる技能を継承・発展させ、世のため、人のためになる事業の展開とこれを担う人づくりに役立てていくことが珠算界の使命ではないか」と結んだ。